連弾をひとりで練習する方法とコツ【音源あり】
ソロとは違う連弾の練習
ひとりでピアノを弾く「ソロ」。二人、または数人で弾く「連弾」は練習の仕方が違います。ひとりで弾くときは、
- 音を間違えないように
- 失敗しないように
ということに注意が行きがちですが、連弾はさらにもう一工夫が必要です。
ひとりでは完成しない
ピアノという楽器は、ひとりで音楽が完成します。これは、他の楽器と違う特徴なのですが、あまり意識することはないのではないでしょうか?
例えば、フルートなどの管楽器は、吹奏楽やオーケストラ、ソロでもピアノの伴奏などと一緒に演奏します。弦楽器も同じです。バイオリンなどは「無伴奏バイオリンソナタ」と伴奏がなくてひとりで演奏するよ、ということをあえてはっきり説明する曲名になっています。
ピアノで「無伴奏ピアノソナタ」は無いですね。
なので、ピアノ以外の楽器の人は、常に誰かと演奏することが多いことになります。
ひとりで音楽が完成するピアノは、西洋音楽の中では特殊です。
これが、メリットであり、デメリットでもあります。
ひとりで音楽を楽しみたいときには、これほど楽しい楽器はありません。誰かと都合を合わせなくていいし、好きなように演奏を楽しむことができます。
ところが、誰かと合わせる、例えば連弾をするとなった時にうまくいかないことが出てきます。
自分の音以外を聴きながら弾けるか?
ピアノはだいたい右手がメロディー、左手が伴奏を担うことが多いので、二種類(メロディーと伴奏)の音楽を同時に聴きながら演奏することは習ううちに自然にできるようになっていきます。
ところが、自分の音以外の音を聴きながら弾けるか、というと難しいのです。
速さが合うだけでは「合わない」
「せーの!」で一緒に弾き始めて、同じ速さで演奏しても「合う」感じにはなりません。
相手の音と自分の音が混ざってひとつの音として聴こえないと「合わない」のです。
ここが、音楽の面白いところです。お互いがちゃんと聴きながら演奏しているとワンランク上の演奏になります。
相手の音を聴くためにどうするか?
相手のパートも練習する
連弾だったら、自分のパートだけでなく、相手のパートも弾きます。そうすると、自分が休んでいる時は相手は動いている、など気付くことが多く出てきます。
伴奏を弾くときはメロディーを歌いながら
伴奏パートが自分の役割なら、メロディーを歌いながら弾きます。これが結構難しいのですが、やるとやらないとでは完成度が違います。
録音して合わせる
どちらかのパートを録音しておいて、それに合わせて、もう一方のパートを弾きます。合わせにくかったら、修正していかなければなりません。自分の演奏に合わせるので、自然に連弾の音の重ね方に慣れていきます。
ボイスレコーダーを活用
録音には、スマホのボイスレコーダーを活用しています。動画で撮るより音がクリアな気がします。音が小さいときはBluetoothスピーカーを使うと本当に合わせているみたいで楽しく練習できます。
いくら練習しても相手と合わせて新発見
ピアノを習っていると、ひとりでの練習には慣れているので、完成はどのくらいか、という見当がつきます。連弾の練習も「さあ、完成!」と思って相手と合わせてみると、
- 思っていたのと全然違う・・・
- ちゃんと練習したのにどうしてうまくいかないんだろう・・・
という誤算が生じます。
これは、正しい誤算で、生身の人間相手の演奏の面白さを味わうチャンスになります。
オーケストラや吹奏楽で演奏する人たちは、自分の音がどんな役割をしてどんな感じに聴こえるかを常に考えながら演奏するように、ピアノを弾く自分も音楽の一部であることを自覚するチャンスだと私は思っています。
ハンガリー舞曲第5番を練習してみました
伴奏の方をボイスレコーダーで録音して、メロディーパートを重ねてみました。全体でこんな音になるんだ!と発見。そして、後半が合わせにくいので、まだまだ練習は必要だ、と自覚したのでした。
でも、一番大切なのは、相手と合わせたとき、ちゃんと聴きながら一緒に弾くこと!
伴奏パート:岩下演奏によるボイスレコーダー録音
メロディーパート:伴奏を聴きながら岩下演奏