本番前の練習のコツ

本番前なのに弾けなくなった・・・

なぜか、本番2,3日前に限って今まで弾けていたところが弾けなくなることがあります。

理由は2つあると考えます。

ひとつは、今までちゃんと練習してきたからということです。

練習して上達したから、色々な音や表現の仕方が分かるようになってきたということがあります。弾けていたと思っていたところが、実は弾けていなかったと自分の耳や感覚が自覚した、というパターン。

 

もうひとつは、意識しないまま練習していたからということがあります。

最初から最後まで通しの練習だけをしていると、頭も身体も慣れが出てしまい、曲を練習し始めた頃の緊張感がなくなります。

指遣いや音の響きなどに意識を集中しなくなると、弾けば弾くほどできなくなり、精神的にも焦りが出ます。

 

 

初心に帰るのが一番

生徒さんに驚かれることがあります。

「先生は本番前に片手練習をやるよ」

と話す時です。

本番で弾く曲は特に、指遣いは絶対に変えないことにしています。そして、本番直前は、必ず片手の練習を毎日やり、テンポを落として音を確認しながら練習しています。

 

まさに、「初心に帰る」です。

 

そのことを生徒さんに話すと「先生が本番前に片手練習するの?」と驚くのです。多分、本番前は、通しの練習を何度もするイメージがあるのでしょう。

 

まさに私も昔はそうでした。

しかし、それをやるとどんどん弾けなくなっていくのです。そして焦る。そこで試行錯誤して分かったのが、初心に帰って片手練習、音の確認、初めて練習し始めた頃のやり方をもう一度思い出します。

すると、今まで練習していた音が違っていた!とか、こういうイメージで弾いた方がいいのか、など新たな発見があります。

 

 

 

「間違えるのがとても心配です」

特に、発表会デビューの生徒さんは音を間違えること(ミス)をとても恐れます。ミスをなくすように練習はしますが、本番は何が起こるか分かりません。

ミスのない演奏はもちろん大切ですが、それより重要なのは、演奏を聴くお客さまが気持ちよく聴ける音楽か、自分が弾いて気持ちがいいか、ということです。

それでも、なかなかミスの恐怖から逃れられないのが現実。

私がやっていることを紹介します。

これは、練習をするだけして、あとは本番を迎えるのみという時の私の方法です。

 

 

今、前の人が弾いていることを想像して椅子に座ります。前の人がお辞儀をして拍手をもらいます。立ち上がってステージに歩くようにピアノに進み、想像の客席に向かってお辞儀をします。ピアノに向かって演奏します。演奏は本番で弾く気持ちです。終わったらお辞儀をします。

 

いわゆるシュミレーションです。大学受験の前は、試験に着るスーツを着て、靴もはいてこれをやりました。

すると、今まで練習した100%の実力は出せないことに気付きます。70%~80%の力しか出せません。ミスもします。

これで分かるのは、私の今の力はこのくらいだ、ということ。だから、ステージでもこれだけできれば御の字だと言い聞かせます。

 

私の場合は、こんな風に開き直っておくと、本番は結構いい感じになります。

 

もし、ここでミスが見つかったらそこだけを取り出してもう一度練習します。決して通しの練習はしません。細かく指の動きや音の確認です。

 

 

本番でミスをしてしまった時の対処法

とにかく顔に出さないことです。

「間違っちゃった」という顔をするから、聴いている人は「あの人ミスした」と思うわけです。なので、もしミスをしてもそのまま弾き続けてね、と生徒さん達には伝えています。

生徒さん達は、この点、素晴らしくうまくなりました。顔色一つ変えず演奏していく様子は見事です。

 

この方法を使うようになったのは、以前、有名な音楽家の演奏会を聴いたのがきっかけです。

とっても有名な方なのですが、曲の最後に長ーく伸ばす音を、絶対この音違う!とはっきり分かる音で伸ばしてしまったのです。

明らかにミスです。伴奏の音と全く違う音でした。プロでもこんな風にミスをするんだ、という驚きがありました。そして、音楽家の態度に興味がありました。一体このミスにどう対処するのだろうかと。

 

長ーく伸ばす間、目の色一つ変えず、動揺もせず、演奏し終えました。終わるとニッコリ笑顔でお辞儀をしました。

え?音間違った?

私の聞き違い?

と思わせる態度でした。

 

本番は何が起こるか分からない。しかし、ここでミスだと観客に思わせてしまったら優雅な演奏会の雰囲気は壊れます。お客さんも動揺します。

それを回避したのはさすがプロの技、と思わざるを得ませんでした。

 

 

「緊張するのが心配です」

本番に緊張しない人はほとんどいません。緊張しないように「見せている」に過ぎません。

何度も本番を経験するうちに「緊張することに慣れる」のです。

緊張することは決して悪いことではありません。テンションが上がるし、集中力も高まります。

正しい練習を積み重ねていれば、本番で思わぬ上達が見られるキセキも起こります。

この「キセキ」が楽しみで仕方ありません。キセキを見られると練習の苦労や緊張への心配は吹っ飛びます。

 

 

終わったら頑張ったことをたくさん褒めてください

ピアノはひとりでステージで演奏する緊張感満載の楽器です。吹奏楽や合唱など大勢での演奏とは一味違います。

たったひとりでステージに立ったことをたくさん褒めてあげてください。

これが本当に大切です!

以前、保護者の方がおっしゃっていました。

私は、あんな広いステージでひとりだけでピアノを弾くなんてできない。うちの子は本当にすごい!

そうなんです。ピアノの発表会はひとりで弾くのが当たり前ですが、じゃあ、大人がひとりでステージに立てるか、と言ったらできないと思うのです。

 

ですから、本番前にたくさん練習したこと、演奏がよかったことなど、ご家族みんなでいろいろな言葉でねぎらってあげてください。

それが、次の本番への自信につながります。

つまり、ご家族の応援がもらえることで、自分の頑張りが認めてもらえたと自覚できます。

そして、次も緊張しても大丈夫、弾ける、と思えるような自信が持てるようになっていくのです。

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