「ナスじゃなくてリンゴの音にして」音色のイメージの伝え方

曲によって音色を変える

色々な曲に挑戦できるようになると、曲によって速さや強さを変えるだけでなく、音色や音楽の雰囲気も変えなければなりません。

子どもにとっては、間違い(ミス)なく弾ければ〇でいいのかもしれませんが、音色や雰囲気を変えた方が断然音楽が生き生きしてくるので妥協はしません。

 

「貴婦人の乗馬」どんな音にする?

有名なブルグミュラーの「貴婦人の乗馬」は馬がパカパカ歩く様子をピアノの音で表します。

ところが、馬の足音にならない。

歯切れが悪い。

こんな時、「馬が歩く様子を想像して」と言っても、なかなか音が変化しないときがあります。

実際に馬に乗ったことがある場合はすぐにイメージできるでしょうが、観光地の乗馬体験くらいではパカパカまでは経験できないのではないでしょうか?

テレビで馬がパカパカの映像を見ることも減っているかもしれません。

「貴婦人の乗馬」のイメージとは違う感じ

 

馬がだめなら食べ物で

そこで思いついたのが

「リンゴをかじるときの音で!」

リンゴって丸かじりすると「シャキッ」てなるでしょう?その感じだよ!

今の音はね、ナスなの。

ナスはへにゃってなるでしょ?

この曲はね、ナスじゃなくてリンゴの音にしてね。

 

これで、音が変わりました。

大笑いしながら弾いていました。

 

 

イメージは経験から

恩師が「音楽はイメージが大切。イメージを持つには経験が大切」

といつも言っていました。

以前は、あまりピンときませんでしたが、最近はよく分かります。

経験がないと、何もイメージできないのです。

馬が歩く様子をテレビで見たのか、動物園で見たのか、自分の中に経験があればイメージできます。

でも、経験がないと頭の中は「?」です。

 

経験値をあげるためにいろいろなところへ連れて行かなくちゃとか、勉強させなきゃとかは、毎日の生活の中では難しいので、その子が分かるイメージを提示するのが大切だと思っています。

 

馬じゃなくてリンゴとナスだから恥ずかしい、ということは決してなくて、要は、音が「馬」になればいいわけです。