レッスン中のお声掛けをご遠慮頂いているわけ
親御さまの見学は自由ですが・・・
親御さまから、ご質問を受けることがあります。
「レッスンの時、親は見学していた方がいいですか?」
私はどちらでもお好きなように、とお伝えします。ただし、条件があります。
親御さまがレッスンを見学する時は、お子さまへのお声掛けはしないでほしいのです。
できれば、表情も変化なく。
お行儀をきちんとさせたいのは分かります
お子さんには、
- 返事は「はい」
- 何か聞かれたら必ず答える
- 敬語を使う
など、「きちんとすべきこと」を伝えていらっしゃると思います。
でも、それは、レッスンの時は「無し」にしてほしいのです。
なぜお行儀を注意するのがダメなのか
子どもをしつけることに関しては、ちゃんとすべき場所ではちゃんとすべきと教えるのは当然です。
よそ様のお宅へ伺ったら、「きちんとする」よう子どもに教えます。
でも、ピアノのレッスンは音楽を奏でます。
音楽をする場では、心が解放されていないとダメなのです。
自分の内面を表に出すので、安心できる場でないと、さらけ出せるはずがありません。
レッスン室は、安心安全な場だと子ども達に認識して欲しいのです。
子どもが分からなかったりつまづいている時
子ども達には「何でも言っていいよ」という態度で臨んでいます。
どんな返事でもいいのです。
どんな態度でもいいのです。
自分らしく、レッスン室にいてくれたら音楽を引き出すことができます。
そのかわり、分からなかったりつまづくのは、教える私の責任です。
できないのは、子どものせいではありません。
ですから、子どもの表情が指導のバロメーターになるのです。
分からないのに、分かったふりをされては困りますし、楽しくないのに、作り笑いをされても困ります。
子どもは親を喜ばせたい生き物だから
子ども達は、親が悲しむことをしたくないと切に願っています。
ですから、「できない」「わからない」と言ったらママが悲しむだろうから言わない。
そんな選択を本能的にしてしまいます。
でも、ピアノを習う時には、できないところをできるようにしなければならないので、その本能は、出さないようにしたいのです。
そのための「お声掛けはご遠慮下さい」なのです。
子ども達は本当に敏感です。
横にいるママが、ちょっと顔をしかめたとか、暗い顔をしただけでも
「あー、自分はママを悲しませてる。ダメだ。ちゃんとしなきゃ」
そんな風に考えます。
でも、レッスン室ではお子さんのそのままの姿を見せて欲しいし、今の自分の姿で音楽をすることが一番楽しい、ということを分かってもらいたいです。